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ケヴィンifルート 永遠の幸せ

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ルート分岐:都合の良い女にてケヴィンとホテルに入らない。

 

街中の片隅にぽつんと立つ、質素なホテル。看板だけがいやに派手で目立っていた。実典は立ち尽くしてそれを見上げる。ケヴィンは不気味に微笑みながら実典の戸惑う様子を見ていた。

 

「入らないの?」

ケヴィンは問う。実典は視線をおろしてケヴィンを見た。

「い、いやだよ」

「どうして?僕が嫌い?」

ケヴィンはむすっとした顔をする。実典は首を振る。

「だって……そういうことするんでしょ?妊娠とかあるし怖いよ」

「だから最後まではしない」

二人はホテルを前にして黙り込む。ビルの陰に隠れるように存在したホテルの周囲に人気はなかった。

「どうする?」

「……」

実典は俯いて黙っていたが、やがて口を開いた。

「今日は止めておこうよ。ね?」

実典は可能な限り微笑んで言った。ケヴィンは黙って実典を見つめていたがやがて口を開いた。

「どうして?」

低い声で問う。その言葉には微かな怒気を孕んでいた。

「どうしてって……こういうのはちゃんと正式に交際してから……」

「違うだろ。実典は僕としたくないだけだ。僕に抱かれるのがいやなんだろ?」

いつになく静かな怒りをたたえたケヴィンの声に実典の体が震えた。

「ち、違うよ」

「何が違うんだよ。実典はエドワードのことが好きなんだ」

「……っ」

実典は言葉を失った。反論ができない。

「だから僕に抱かれるのが嫌なんだ。エドワードに嫌われたくないんだよ実典は」

ケヴィンはゆっくりと実典に歩み寄る。

「そんな、そんな理由じゃないよ」

「じゃあ実典は僕のことが好きなの?」

「好きだよ」

「エドワードより?」

「……」

ケヴィンは唇の端をゆがめた。

「ほらね」

実典に詰め寄る。二人の距離は数センチしかなかった。

「やっぱりそうだったんだよ。実典は僕のことを哀れんで好きなフリをしていただけだ。心のそこでは別の男のことを考えながら、僕のことを哀れんで抱いていたんだ。変な風に期待を持たせて、僕が傷つかないように、はっきり断ったら僕がかわいそうだったからだから期待を持たせて良い気になっていたんだ!」

「ち、違うわ!かわいそうだなんてそんなこと一度も思ったこと」

「うるさい!うるさい!」

ケヴィンは叫んだ。

「じゃあ抱かれろよ。僕に。そしたら納得してやるよ。無理だろ?できないだろ?」

「ケヴィン……私は……」

「一緒に寝るだけでいい。最後までする気なんて本当にない。信じてくれ。だから僕と一緒に来いよ。実典、お願いだから、実典」

ケヴィンの手が実典の腕に伸びた。実典は咄嗟に手を引っ込めようとするがケヴィンが強引に掴む。その瞬間、指輪が光り、無数の鎖が空間から現れケヴィンの体を捻り上げた。

「実典!!やっぱりお前……」

何かをいいかけたケヴィンが締め上げられ、言葉が消えた。実典は首を振りながらそれを見つめた。

「……いや、違う、違う、私は……」

実典はつぶやくが鎖は止まらない。ケヴィンが力を失うまで体を捻りあげた。それが実典の答えだったのだ。

「……っ!!」

ケヴィンが抵抗する力を失うと鎖は消えた。ケヴィンは膝をついて息を整える。

「ケヴィン……ごめん!」

「さわんなよ!!」

ケヴィンは実典を睨んだ。凄まじい怒気に実典が怯える。

「お前は、俺を拒絶したんだ!今のが答えだ!俺に触られるのもいやだったんだ!!期待だけ持たせやがって!俺を哀れみやがって!どんなに惨めかわかるか!?俺はお前を許さない!絶対に!!」

ケヴィンは立ち上がると、服に付いた砂を払った。そして実典とすれ違うようにしてその場を立ち去る。

「ケヴィン」

実典は振り返り、すぐにケヴィンの後を追った。しかし一瞬のうちにケヴィンの姿が見えなくなっていた。あれほど大きくて目立つのに、実典の視界には映らない。だめだ、すぐに探さなければ、何か悪いことがおきようとしている。

「ケヴィン!待って!戻ってきて!お願い!」

実典は叫んで町を走り回ったがケヴィンの姿はどこにもなかった。

 

 

あれから数日がたった。

実典は二人の家族を失った。ウィリアムとケヴィン。二人が家から居なくなった。一晩中探し回ったが二人とも見つからなかった。その後、天使が家にやってきてウィリアムの魂は天使によって回収されたことを告げられた。実典は愕然とした。

ケヴィンは行方不明だった。天使すらその居場所を特定できなかった。何かわかったら連絡すると天使は言い残して帰って行った。

実典の心は空っぽだった。ただ悲しみだけが彼女の心を支配していた。テレビの無機質な音だけが部屋に響いている。落ち込む実典の様子をエドワードが穏やかな目で見ていた。実典の元に残ったたった一人の殺人鬼。実典の愛する人。

「実典……」

エドワードは実典の隣に座った。優しく肩を抱き寄せる。

実典は力ない目でエドワードを見た。傷心してからエドワードは実典に尽くすようになった。常に気遣い実典に優しく接した。実典もいつの間にかエドワードを信頼するようになっていた。そしてそれはいつしか愛情に変わっていた。

実典はエドワードの胸に顔をうずめる。

「私のせい……私がケヴィンにひどいことをしたから……」

「実典のせいじゃない。ケヴィンは大人だ。自分で決めて選んだ道だ。それを受け入れろ」

実典の涙がエドワードのシャツを濡らした。エドワードは実典の肩をつかみ優しく引き離すと、瞼にキスをして涙を拭った。

「え、エドワード?」

その意味を実典は一瞬理解できなかった。普通の友人同士でやることではない。

「俺はお前を愛している」

その言葉に実典の心は締め付けられた。

「いやだったか?」

「嫌じゃない……」

実典は必然的に享受した。エドワードはじっと実典を見つめると再び唇を近づけた。触れるだけの優しいキス。

「俺はずっとお前のそばに居る。お前のためならどんなことでもする。欲しいものはすべて与えてやる。だから俺だけを選べ」

「……」

実典はしばらくエドワードを見つめていた。ウィリアムもケヴィンもこの家には居ない。だがエドワードが居る。失ったものばかり見ていないで前を見るべきなのだと思った。

「うん、わかった」

実典は不器用に応えた。エドワードは優しく笑うと再び唇を重ねた。触れるだけだ。無理に舌を入れたりはしない。それがとても嬉しかった。

しばらくエドワードの胸に体を預けて二人だけの時間を過ごした。ゆっくりと時間が流れるような幸福な時間だった。しかしエドワードが口を開き、その空間を破った。

「俺と寝るのは嫌か?」

エドワードは実典を胸に抱いたまま問う。実典はエドワードを見上げしばし黙り込むと答えを言う。

「ううん、嫌じゃない」

「本当にいいのか?」

「私も……エドワードが好きだから」

実典は両手でエドワードを包み込む。そしてエドワードを見つめてにっこりと笑った。

「ねえ、エドワード。愛してるって言って?」

実典の懇願にエドワードはにやりと笑う。そして実典の体をそっと自分から離すと肩に手を置き、口を開いた。

「ああ、俺はお前をあいーー」

実典の眼前で血飛沫が舞った。

一瞬だった。エドワードの首にナイフが刺さっていた。その先端から黒い血を吐きながらエドワードの真っ赤な血と混じっていく。その背には黒い影と金の眼光。殺意と憎しみに染まった禍々しい姿。

エドワードの体が椅子から落ちた。実典は呆然と見ていた。目を見開いたまま、視線をエドワードから上に移動させる。エドワードの背後にはケヴィンが居た。

「ケヴィン?」

「久しぶり?実典」

ケヴィンは真っ黒なローブを重ね着し、口元をマスクで覆っていた。光のない異質な目で実典を見つめる。真っ黒な霧を纏っている。ドス黒い異様な魔力が眼に見えて伝わった。

「これからヤリたいって思った瞬間ほどスキが多いんだよな」

ケヴィンは冷酷に言う。エドワードは床に突っ伏したまま動かなかった。血が止まらない。

「動けないだろ?10人の女を殺してその血で作った毒だ」

ケヴィンは言う。そして手にしたメイスを振り上げた。

「さてと、止めを刺そうか」

エドワードの顔が破裂する。

 

ドシャッ。

 

「よいしょっと……」

 

グシャ。

 

「よっ」

 

ゴチャッ。

 

「もう一回」

 

グシャッ。

 

「あと少しかな」

 

ドシャッ。

 

機械的な破裂音がリビングに響いた。肉が破裂し歪み骨が砕ける音。ケヴィンは事務的な作業をするかのように淡々とメイスを振り上げる。実典の眼前でエドワードの目玉が破裂し、顔が造詣を失っていく。表面の肉が削がれ白い骨がむき出していた。返り血を浴びながら淡々と作業を進めるケヴィン。

その瞬間実典の体に震えが走った。思わず椅子から滑り落ち、腰を抜かしたまま必死で距離をとろうとする。

ケヴィンは作業を終えるとマスクを取って実典を見た。実典の心臓が跳ね上がり小さく悲鳴を漏らした。

「さてと、何ヶ月かかるかな?」

「……っ」

何のことを言っているのかわからなかった。実典は震えながら首を振って拒絶する。歯がガチガチとなった。殺人鬼が怖いわけではない。ずっと信頼していたケヴィンが邪悪な姿で自分を殺そうとしている。それが一番怖かったのだ。

そしてとあることに気付き、指に嵌めた銀の指輪を撫でた。

「こ、こないで、きたら……これを使うわ」

恐怖で震えた声でようやくそう言った。ケヴィンは笑うと目をまん丸にして首をかしげた。そして実典に歩み寄る。実典の体に恐怖が走った。

「いいよ。使えば?」

ケヴィンは膝をつき、実典に目線を合わせる。そしてその腕を掴んだ。

「でも止めたほうが良いと思うよ?だって僕、実典に優しくできなくなっちゃうから」

「ひっ……」

「ねえ?どうするの?指輪を使ってでも僕を拒絶するなら、今ここで実典の腕を切り落とさなきゃいけないんだけど?」

「……」

「実典が僕のいうことを聞くなら優しくしてあげてもいいよ?」

実典は震えながら何度も頷いた。頭の中は生き残ることしか考えられなかった。死が目の前にある。いや、死よりももっと恐ろしいものが目の前にあった。

「何を?何をすればいいの?なんでもする、なんでもするから!」

実典は叫んだ。言葉は自然と早口になっていた。

「そうか、嬉しいよ実典。じゃあ早速、僕とセックスしようか」

ケヴィンは実典を床に押し倒した。実典の上に覆いかぶさる。実典の視線の先にはエドワードが居る。

「いや……」

「は?嫌なの?実典?」

「……っ」

狂気に満ちた目で見下され実典は拒絶ができなかった。

「嫌じゃありません」

「そっか」

ケヴィンは微笑むと実典の服を一着一着丁寧にはがし始めた。実典を全裸にし、組み敷いて上から眺める。その目に理性はなかった。そしてエドワードの死体を一瞥すると、自身のズボンをずらして実典の足の間にうずめた。

「いっ、いたっ……」

実典の乾いた体の中にケヴィンの一部が押し入ってくる。ビリビリと肉を裂き激しい痛みを伴いながら無理やり入り込んで行った。

「いたい!痛い!止めて!ケヴィン」

「あはは、あははは」

ケヴィンは笑いながら実典の奥に力尽くでねじ込んだ。紙を破くような激しい痛みが実典を襲った。

「いやっ、痛い、痛い」

実典はかぶりをふって涙を流した。ぎちぎちと肉体がそがれ、ケヴィンが腰を振る。体の中が擦れて激しい痛みを発生させた。あまりの痛みに悲鳴を上げるがケヴィンは止まらなかった。実典の腕を掴み腰を振り続ける。実典の奥を貫き、押し付けた。

「実典、好きだ、好きだ、好きだ」

ケヴィンは何度もそう呟き笑いながら実典を犯した。実典の頭の中でケヴィンの言葉が反芻する。

実典は力なくうなだれた。涙を流しながらただ黙ってその行為が終わるのを待っていた。

「実典は僕のことが好き?」

ケヴィンは笑って言った。実典はケヴィンを見る。ああ、この目だ。恋をするその時だけケヴィンは無邪気に笑う。

「好きだよ」

実典は力なく言った。ケヴィンはにこやかに笑う。そして腰を回しながら実典を見つめた。

「愛してるっていいなよ」

「……」

「そうしたら優しくしてあげるよ」

「愛してる」

「もっと言って」

「愛してる」

ケヴィンの動きが一層早くなった。力を失った実典を激しく蹂躙する。その意味を理解し、実典の視界が真っ白になった。

ケヴィンが力強く自身を押し込め、実典の中に吐き出した。実典の体内をケヴィンの精が支配する。実典の背中に寒気が走った。

「実典……これでやっとひとつになれたよ」

「……ケヴィン、なんてことを」

その時、実典は初めてケヴィンを見た。狂ってしまった哀れな殺人鬼。

「ねえ、子供の名前は何にしようか?女の子がいい?男の子がいい?楽しみだなあ」

ケヴィンは実典から自身を引き抜くと実典の頭を胸に抱いた。そしてその髪をゆっくりと撫でる。血の匂いが実典の鼻についた。再び恐怖が実典を支配する。

「大丈夫だよ、実典もすぐ僕を好きになる。いっぱい優しくしてあげる。もちろん僕を受け入れてくれるなら、だけど。どうする?」

実典はケヴィンを見た。そして引き攣ったように笑うとその言葉を受け入れた。

 

 

全裸の女がその部屋の中心にいた。周囲は暗く血の匂いで充満していた。カーテンは締め切られ、光の入らない空間だった。

女の腹は大きく膨れていた。焦点の合わない瞳でぼんやりと前を見据えている。その女を一人の男が抱いていた。女の体を胸に抱き、壁にもたれながらくすくすと笑っていた。美しい男だった。金髪の髪をなびかせ金の瞳で女の姿を捉えていた。

「結構、上手くできてきたかな。ねえ実典」

実典と呼ばれた女は暗い瞳でケヴィンを一瞥すると、微笑を浮かべながら口を開いた。

「ケヴィン……愛しています」

「違うだろ?ケヴィンじゃないだろ?ケヴィン様だろ?」

「ケヴィン様……」

「やっぱりいいや、何か気持ち悪いから」

ケヴィンは実典の頬を撫でる。白い肌に血の跡が付いた。実典の薬指には指輪が嵌められていた。血に濡れながらもそれは鈍く輝いていた。中指には銀の指輪が嵌められていたがほとんど朽ちかけていた。亀裂が走り色がくすんでしまっている。ボロボロの状態だ。それは彼女の抵抗の跡を示していたが同時に無駄であることも示していた。

「ケヴィン……」

「実典、愛してるよ」

ケヴィンは乱暴に実典の唇を吸った。

実典はあの日から毎日のようにケヴィンに犯された。何度体が傷つこうとも体内が悲鳴をあげようともその度にケヴィンに治癒魔術を使用され毎晩ベッドに引きずりこまれた。一度の行為は数時間に及んだ。互いの素肌を密着させ実典の体を自身の肉体で拘束するように実典を犯した。行為が始まると必ず実典の体内にケヴィンの精子が吐き出された。何日も何日も続く陵辱の日々。それが半年以上続いた頃、実典は体の異変に気付いた。その時には全てがおそかった。実典は妊娠してしまった。

「もうすぐ生まれる。僕の子が」

ケヴィンは満足そうに実典の腹を見た。実典の中に自分の子が宿っている。実典はもう抵抗すらしない。自分と自分の子の安全を優先して大人しくケヴィンに従い続けている。それが嬉しかった。実典をケヴィンが支配し自分のものにできている。

「エドワードの記憶も消えてきたかな」

エドワード。実典はその名前に聞き覚えがあった。だがよく思い出せない。

実典はケヴィンの洗脳を少しずつ受け得体のしれない薬を飲まされ心を支配されかけていた。それでも実典には希望があった。恋愛感情には限界がある。2年、3年経てばこの生活にも終わりが来るだろう。だから耐え続けていた。いつかくる終わりを待ち望んだ。

「そうだ、実典。一つ教えてあげようか」

「なに?ケヴィン」

「僕たち魔人はね。人だけど人じゃない。一度死んだ人間だ。死んだ人間っていうのはね生きた人間と違う。一度強い愛情を持ってしまったら忘れられない。心がそこから動かない。執着と同じだ」

実典はその言葉にぞっとした。考えを読まれているようだった。

「だから僕が実典に抱く感情は永遠に変わらない。こうして死ぬまで犯して孕ませて僕と実典の世界を作り上げるんだよ」

「……っ」

実典の心が絶望に染まる。この生活が永遠に続く。死体と血に囲まれた異様な生活が永遠に。血の滴る音がどこからか聞こえた。

「子供が楽しみだなあ。実典と僕、二人の子供だ。なあ実典」

ケヴィンは実典の腹を撫でた。

「もう諦めちまえよ。心を僕に売っちまえよ。これ以上耐えても何もならないよ」

ケヴィンは懐から小瓶を取り出す。

「ほら、飲みなよ。実典」

実典は反応しなかった。ケヴィンがそのビンを口に含み、口移しで実典の口に運んだ。顔を押さえつけ無理やり飲ませる。実典の口から雫が漏れた。

「僕と同じになるんだ。実典も。そうすれば寿命なんてなくなる。永遠に一緒にいられるんだ。子供が生まれる頃には実典も魔を宿して、魔徒として永遠に生きられるよ。永遠に僕と愛しあおう」

ケヴィンは再び実典の唇を奪った。舌を絡めて唾液を交換する。実典はそれに応えた。ケヴィンが喜ぶと知っていたからだ。

ケヴィンは実典の体を抱いたまま、部屋を眺めた。部屋には無数の死体が散乱していた。天井には頭部のない人間の死体が逆さまに吊るされ血を滴らせている。そして床に備えられたバケツが血を受け取っていた。

散乱した死体は裸になった若い女たちの死体だった。死体はひどく破損し骨がむき出しになっている。ここも早く片付けなければ。ケヴィンは考えた。

「女って馬鹿だよね。僕が歩いているだけで勝手についてくる。殺されるとも知らないで。本当に笑えるよ」

ケヴィンは笑った。

「……でも実典は違ったね。実典はずっと僕の心を理解していた。ずっと僕の心を見ていたんだ」

ケヴィンはそこで俯く。

「どうしてこうなっちゃったんだろう。こんな愛し方しかできなかったのかな。ねえ実典」

ケヴィンは実典を見た。

「実典があの時、正しい選択をしてくれたらこんな風にはならなかったのに。人を殺すことも、実典をこんな風に滅茶苦茶にすることもなかったのに。もっと僕たちはマシな形で結ばれたんじゃないかな……今よりもずっと幸せになれたはずなのに」

実典は何も言わない。

「まあいいか。そんなことは。実典が居て僕の子供が居る。今はそれだけでいい。実典、ずっと僕に頼って生きろよ。永遠に、魔の体で。天使と神がいつか僕たちを殺す日まで、何千年も……はは……はははは……はははははは……」

ケヴィンは笑った。獣のように低い声で笑った。部屋にはケヴィンのうなり声のような笑いが響いた。実典の頭の中でそれはずっと反響していた。実典はケヴィンの腕の中で今後、迎えるべき平穏な未来を想像した。

 

ケヴィンifルート トゥルーエンド「絶望の日々」