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【殺人鬼との恋】最終話 狂ってしまった愛

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 下っ端の仲間を生贄に安全を手に入れたその少年は、中央にそびえる屋敷に侵入した。見かけに反してしっかりした木材を使用し掃除が行き届いている。注意深く、周囲を観察すると、室内の陰となる部分にちょうど下に降りる階段があった。

 死角に隠された階段をゆっくりと、慎重に階段を降りる。階段をすべて降りると仄暗い明かりが木製の地下室を照らしていた。中央にはフックが4台設置され、血痕が床に染み付いていた。

「なんだこれは」

 無意識に呟いた。そのつぶやきに反応したかのように、部屋の奥のロッカーがガタリと鳴った。

「誰だ!」

 少年が銃を向けると、ロッカーがゆっくりと開き中から女が現れた。行方不明の成人女性……都市伝説が頭をよぎった。

「あ、あなたが助けに来てくれたんですね…!」

 女は怯えた表情で言った。

「お前は殺人鬼に囚われていたのか?」

「はい、あの殺人鬼に捕まり奴隷にされていました。私はあの男に毎晩抱かれて慰みものとして…」

 女は力を失ったようにその場にへたり込み涙を流した。すすり泣く声が地下室に浸透する。その様子から、女が想像を絶するような恐怖と陵辱の日々を送っていたことがわかる。

「もう大丈夫だ。ここから逃げよう。心配ない」

少年は銃を仕舞い、女に近づいた。

「本当に…?」

「本当だ。仲間も十数人つれてきた。あとは車で逃げるだけだ」

 女はよろめきながら少年に近付いた。そして足がもつれ、少年の薄い胸に力なく倒れこんだ。

「おい、大丈夫か……?……っ!!?」

 少年は思わずよろめく、しかし体が固定され倒れることが出来ない。腹部に何かが固定されている。思わず痛みの発生源である腹部を見た。少年の腹部には大振りの刃物が刺さっていた。

 女は刃物の柄から手を離すことなく、突き刺した刃物をグリグリと掻き回し肉を抉っていた。しっかりと少年の体を掴み、女の顔を憎悪に汚して。少年が苦悶するのを確認すると刃物を引き抜き少年の腹部に踵を埋め込み、力強く蹴り飛ばした。

「グハッ!」

 血を吐き散らしながらその場に突っ伏す少年。慌てて銃を取り出そうとするも、手を床にナイフで縫いつけられた。銃は蹴り飛ばされ部屋の隅に放られた。

 どんなに凶暴なものでも痛みには敵わない。切りつけられてそれでも殴りかかるなんてそんなものは映像の世界だけにしかない。女はそれをよく知っていた。

「やったあ!私にも殺せたわ!ああ!愛しのエヴァン!私にもできたわ!できるようになったの!これで私も貴方と同じ」

 女は恍惚と高らかに叫ぶ。そしてゆっくり、少年に向き直る。

「じゃあこの先だけどあなたはどうされたい?陰部を切り取って口に入れる?その写真を撮ってばら撒くのも面白そうね、あなたもよくやっていたのでしょう?」

 少年の目が大きく見開いた。この女、狂っている。

「あ!そうだわ。思いついたの。人間って舌を噛み切ると死ぬっていうじゃない。あれって本当なのかしら?舌を噛み切っただけで死ぬって嘘くさいわよね、気にならない?」

 女は純粋に、まるでいいことを思いついた子どものように語った。そして少年の顔に近付き自身の服の中から予備のナイフを取り出した。折りたたまれたナイフを開き、少年の手に刺したナイフを回収すると少年の頭部を膝の上に抱いた。

 やさしく、誘惑するように女の細い指が少年の頬をなでる。女はいとおしげに、少年の引きつった顔を見ていた。少年は歯を食い縛り頑なに、口を閉じていたが女はナイフの刃先を少年の刃の隙間に滑り込ませた。そのまま刃を傾かせ、梃子の原理で大した力もかけずに口を開けた。刃先が口内に当たりチリチリとした痛みが走る。

「それじゃあ、やるわね」

ひっ、と少年は悲鳴を飲む。女は少女のような純粋な笑みでもう片方に手にしたナイフを……。そこで手を止めた。

「普通にしてしまうのも芸がないわね」

 女は笑う。少年はほっと息をつく。女はナイフの対象を少年の口から目玉に変えた。少年の目が引きつった。

「まずはその目を奪いましょうか」

 ナイフが目につく。見たくないのに目が反らせない。女は歪に、にっこりと笑った。不気味で邪悪な笑顔。少年は必死に懇願した。異形の恐怖で身動きが取れない。刃先が近づいてくる。刃先が大きくなる。イヤだイヤダイヤダ、やめてやめてやめて、嫌だ嫌だ嫌だ。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて。

 

ーー絶叫。