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【殺人鬼と三角関係】 第29話 限界

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家に戻る。二人はビニール袋を手に提げて玄関へと入った。玄関には人気がない。一旦買ったものを玄関に置くとエドワードは実典に向き合った。

 「……」

二人はしばし見つめ合う。エドワードが実典の頬を包み顔を接近させた。最初は優しく、徐々に力を込めてキスをする。唇をスライドさせ舌を絡ませながらキスをした。

「今度はお前からだ。俺に同じことをしてくれ」

実典はしばし躊躇ったが、同じことをエドワードにした。唇をスライドさせるように触れ合う。

「遊びは終わりだ。ここからが本番だ」

エドワードはそういうと実典の肩を抱き寄せ貪るように唇を重ねた。激しく唇が動き舌が口内を侵食する。実典の体は壁に押し付けられひたすらエドワードの接吻を受け入れた。そこに足音が近づいてくる。実典の目が見開き焦りで染まった。二人はすぐに離れる。

「おかえり実典」

ケヴィンがリビングから出てきた。じろりと二人を見る。

「ああ、食品を入れないとな」

ビニール袋を手に取りリビングへと向かった。実典もそれに続いた。

「何かされなかった?」

ケヴィンは実典に問う。

「何もなかったよ」

「そうか」

実典は冷静に答えた。そしてリビングに入っていく。

 何もなかっただって?

玄関に残された異様な空気をケヴィンは見逃さなかった。気づかないはずがない。白々しいにも程がある。

ケヴィンは携帯を取り出すと端末を操作して写真を表示した。泥のようにねっとりとした視線でそれを眺める。

 

実典は購入した食品を冷蔵庫にしまうとそのまま二階へ上がり自室に入った。部屋に鍵をかけベッドにどさりと落ちる。

部屋の鍵はもはや意味がなかった。ケヴィンが開けろといえば開けるしかない。実典は布団をかぶると眠気が急速に襲ってきた。ほとんど眠れていなかった。夜になるとケヴィンが入ってくるからだ。何かをしてくるわけではないが何時間も実典の肩を抱きその様子を監視した。目的がつかめない分恐ろしかった。そしてエドワード、彼はどうすればいいのだ。頭の中がぐちゃぐちゃだ。重い睡魔が彼女を襲い。眠りへと誘った。

 

リビングでテレビを見つめるエドワード。そこに和室から出てきたケヴィンが立ちふさがった。

「邪魔だ」

「そんなこというなよ」

ケヴィンは笑ってエドワードを見下す。

「庭に出ないか?ここだと話しにくい」

エドワード黙ってケヴィンを見ていたが立ち上がり庭に出た。

「実典とキスしたのか?」

ケヴィンはズボンのポケットに手を入れ車にもたれかかってエドワードを見た。

「だとしたらなんだ?」

ケヴィンの心を邪悪な嫉妬心が支配したが顔には出さなかった。

 「実典は俺に惚れている」

エドワードは宣言する。

「ふうん」

ケヴィンは特別、気にしてないような様子でエドワードを見た。そしてエドワードに近づく。

「じゃあこれは知ってたか?」

手にした携帯を起動しエドワードの目の前でとある写真を表示した。

エドワードの仏頂面が大きく狼狽する。

「み、実典……」

その写真はシーツにくるまった実典の姿だった。男の腕に抱かれて眠っている。画質は荒いが紛れもなく実典だった。

「実典は俺と寝たんだよ」

ケヴィンは笑いながら言った。

「あの夜は最高だったよ。実典も俺を求めてきてさ。二人で何度も愛し合ってキスして、それから何度もセックスしてさ。よがる実典、本当に可愛かったなあ」

ケヴィンは恍惚として言った。エドワードはしばらく呆然としていたが、ケヴィンを一瞥するとそのまま車にのりこんだ。そして無言で車を発進させた。

ケヴィンは冷たく笑いその様子を見ていた。

完璧だ。肉体関係があると思わせればどんな男も引かざるを得ない。

「さてと」

あとは実典だどうしてやろうか。この手につかんだ浮気の確信。どうやって償わせようか。心は嫉妬心に支配されたが計画通りでもあった。この弱みを武器に実典に迫るというのもありだ。ウィリアムがいるから難しくはあるが肉体関係を得ることができるかもしれない。ケヴィンは即座に実典の部屋に向かった。

 

ドアをノックする音で実典は目覚めた。寝惚けた頭で恐る恐る扉に近づき鍵を開ける。

「実典……」

目の前にはケヴィンが立っていた。実典の頭が急速に冷めていく。ケヴィンは冷たい目で実典を見下すと迫ってきた。体を軽く弾かれベッドにどさりと倒れる。ケヴィンは速やかに扉を閉めて鍵を回した。

そのまま実典の上に覆いかぶさった。そして乱暴に唇を押し付け実典の唇を奪った。

「実典、あいつとキスしたんだろ?」

睨むように実典を見る。その手は実典のシャツにかけられていた。一段一段ゆっくりとボタンを外す。

その意味を理解し実典の心が恐怖に染まった。

「答えろよ。実典」

実典の胸が露わになる。ケヴィンの指が実典の肌を撫でた。

実典は涙目で頷く。ケヴィンの目は憎悪に染まった。

「じゃあ、誠意を見せてもらおうか」

ケヴィンの手がスカートのファスナーにかかった。ゆっくりと下ろし軽く腰を撫でた。

「や、やめて」

実典は懇願する。

「いいんだよ、ウィリアムを呼んでも」

ケヴィンは笑う。呼べるわけがない。こんな姿を見られるのは嫌だった。少なくとも自分が我慢すればこの場は収まるのだ。ケヴィンの手はスカートの中に入っていった。実典の太ももを撫でるように弄る。

「僕が何をしたいか、分かるよね」

「……」

ケヴィンはシャツを脱ぎ上半身を露わにする。そして実典に接近し肌をじかに触れ合った。ケヴィンの股間は膨張していた。服越しにそれが伝わる。この前とは違う。本気だ。何もしなければ本当にケヴィンと肉体関係を持ってしまう。

「ケヴィン、やめようよ。こんなの」

「じゃあ僕を選べよ」

実典は即答できなかった。

「答えてくれないんだね」

ケヴィンは一瞬だけ悲しそうな顔をした。

「僕はこんなに実典のことが好きなのに」

実典の頬を唇を指でなぞる。

「う、ううっ」

実典の目から涙が溢れた。思わずケヴィンの心がかき乱される。悪いことをしている気がしたからだ。

「僕が嫌い?」

思わず声が震えた。嫌われて当然だ。こんなに酷いことをしている。

「嫌いじゃない。嫌いだったら耐えられなかった」

実典は涙声で言った。

「あの頃に戻りたいよ。ケヴィンが優しくてみんなと仲良くしていたころに。どうして変わってしまったの。苦しいよ」

ケヴィンはしばらく実典を見つめると実典の上から退いた。その気になれなかった。

「戻れるわけないじゃん」

ぽつりと言った。

「1日待ってやるから決めろよ」

「1日なんて短すぎる」

実典は起き上がって言った。

「できないなら」

ケヴィンは実典を見た。

「僕がお前を抱く。力づくで僕のものにする」

実典はその言葉に下唇を噛み締めた。

 

ウィリアムはこたつで眠っていた。机に突っ伏し力なく眠っていた。

ふと目を覚まし自分の手を見る。ウィリアムの手は光に透けていた。時間が来ている。ウィリアムは自分の最後を理解した。ここ数日は起きていることもままならなかった。体が怠く辛かった。

ウィリアムは立ち上がった。まだやり残したことがあったからだ。ふらふらと立ち上がり実典の寝室に向かう。実典の部屋の扉は開きっぱなしになっていた。実典がベッドに腰掛けて頭を抱えている。

「ミノリ?」

ウィリアムは微笑んで実典の隣に座った。実典は涙に濡れた目でウィリアムを見た。

「どちらかを選べって」

実典は鼻をすすった。ウィリアムは実典の涙を拭う。

「無理だよ」

「じゃあ選ばなければいいんじゃない?」

ウィリアムは優しく微笑んだ。

「そんなの……」

「ミノリ、大丈夫だよ。未来は自分で築くんだ」

「でも」

「大丈夫。神の思い通りにはならないよ。ミノリの思うがままに生きるんだ」

ウィリアムは実典を胸に抱いた。

「大丈夫、大丈夫だよ」

ウィリアムに撫でられ実典は嗚咽を漏らした。

「うっ、あ。ああああ!」

そのまま胸の中で泣きじゃくった。ウィリアムは実典を優しく撫でながら何度も大丈夫と口にした。そして時間がながれ実典は泣き疲れて眠ってしまった。

「ミノリ………」

ウィリアムの意識が霞んでいく。そのまま倒れこむように実典を抱いたまま横たわった。

目の前には泣き腫らした実典の顔があった。実典なら大丈夫だ。きっと正しい人生を歩んでいける。ウィリアムは力なく微笑んだ。

「み、のり……」

実典の頬を一筋の涙が伝った。それを指で拭い頬を撫でる。

「みの……り、だいす…き」

実典との様々な思い出が蘇った。初めてあった時自分に名前をつけてくれたこと。自分に勉強を教えてくれたこと。抱きしめてくれた優しくてくれた。自分を初めて愛してくれた人。

「実典、ありが…とう」

ウィリアムの体は光に包まれていきゆっくりと透けていった。そして透明になり実典の前から姿を消した。

「ウィリ……アム…」

実典は呟くが応える者はいなかった。