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トラッパーの日記 33日目【殺人鬼と三角関係】

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油断していた。

俺はぼんやりと1日を過ごしていた。

盗聴器からは雑音が入ってくる。

 

レイスと奴隷は部屋で過ごしているらしい。

会話がなかった。静かすぎた。

今思えばその静寂を疑うべきだった。

 

「昨日、あいつと何を話したの?」

沈黙を破ったのはレイスだった。

 

「なんのことですか?」

「とぼけるなよ」

レイスの口調は怒気を含んでいる。

 

「トラッパーのことだよ」

その言葉に俺ははっとする。

 

「特に何も」

「嘘つけ。知ってるんだぞ」

気づくと俺は盗聴器の音声に全神経を集中させていた。

 

「俺の能力を忘れたのか?透明になれるんだぞ。自分が監視されてることにも気づかなかったのか?」

背中に寒気が走った。

今までずっと見られていたのだ。

 

当たり前だ。俺がこうして奴隷を監視しているのに奴が何もしないわけがない。

昨日の会話を思い出す。レイスにとってなんて事はない内容だ。

ならばなぜこのタイミングで切り出した?

まさか……。

 

「トラッパーのことが好きなのか?」

レイスが問い詰める。

 

「違います」

女は焦るように取り繕う。

 

「じゃあ俺のことは?」

「……」

 

「答えないのか」

一瞬、沈黙が場を支配した。

 

「俺はお前が好きだよ」

二人の足音。レイスは女に詰め寄っている。

 

「俺だけの物になれよ」

何かにぶつかるような音。足音はそこで止む。

 

「お前をあいつと共有するなんて耐えられない」

「や、やめてください」

「僕がいない間、あいつの腕にお前が抱かれる。想像しただけでゾッとする。嫉妬で頭が狂いそうだ」

女の体が壁に押し付けられる音。俺は息を飲んだ。

 

「そうだ、僕がお前を殺したことにしよう。そうしたら僕たちはずっと一緒だ」

「そんな、無理ですよ!すぐにバレます!」

 

「まだトラッパーのことが気になるのか?」

「…………!」

 

「あいつはお前のことをなんとも思ってないよ。言われただろ?昨日。冷たくあしらわれたじゃないか」

「う、うう……」

涙声のようなものが聞こえてくる。

 

「俺のものになれよ」

「…………っ」

 

「初めて会った時から好きだったんだ」

「…………」

 

「もう共有するなんてイヤだ」

「…………」

 

「ずっと僕と一緒にいようよ」

奴隷は束の間の沈黙の後、口を開いた。

 

「他の人は納得するんですか?」

その言葉に俺はぞっとした。

 

「納得させるよ、俺が」

俺はそこで盗聴器を切った。

それ以上聞きたくない。

 

頭が急速に冷えていく。

目眩のような感覚を覚えながら俺は頭を抱えた。