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トラッパーの日記 34日目【殺人鬼と三角関係】

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俺の目の前にはレイスとヒルビリーがいた。

そしてレイスの隣に奴隷が立っている。

 

「なんのつもりだ?」

俺は極めて冷静に言った。

 

「取引だ。奴隷を僕に寄越せ」

レイスは淡々と言う。その目はまっすぐ俺を見ていた。

これほど強く俺を見たことがあっただろうか。

 

「ふざけるな。奴隷は俺たちへの褒美だ。独り占めなど許さん」

俺は用意しておいた答えを告げる。

 

「そう言うと思ったよ」

レイスは笑った。

口の端を歪めて笑った。

俺は外面だけは取り繕っていたが内心ぞくりとしたものを感じていた。

 

「奴隷を3人で共有するなんて無理があるんだよ。だから僕は報酬を用意して来たんだ。ブラットポイント25万、それぞれ二人に渡す。その代わりこの子を僕にくれ」

 

「そんなのイヤだ!」

意外なことに強く反論したのはヒルビリーだった。

 

「だったらオレもポイントなんかいらない!」

ヒルビリーは敵意を剥き出してレイスに詰め寄った。

 

「レイス、あきらめろ。俺たちは金で動くほど甘くはない」

俺はヒルビリーにエールを送りながら内心ほくそ笑んだ。

問題はない。そうだ。奴隷はレイスになど渡さない。

 

「ヒルビリー、気付かないのか?彼女は毎日毎日3人の家を回ってる。それが彼女に多大な負担がかかってるんだよ。彼女はただの人間だぞ。毎日殺人鬼の家に行って奉公する繰り返し。ヒルビリーは好きな人に大きなストレスをかけたいのか?」

「ストレス……」

「心配しなくても永遠に会えなくなるわけじゃない。週に一度は会えるようにするよ。住む場所が僕の家になるだけさ」

「分かった」

なんということか。ヒルビリーは納得してしまった。

レイスは俺を見る。

 

「お前はどうなんだ?トラッパー。まさかお前も女と別れたくないとか言うんじゃないだろうな」

「……」

俺の言葉を見越してレイスは言う。

 

「彼女の働きに25万の価値があるようには思えないけど?」

レイスは言葉を続ける。

 

「まさかお前、彼女のことが好きなのか?」

そしてゆっくりと距離を縮めてくる。

 

「彼女のことが好きだから、別のやり方でポイント分の価値を払わせようとしているんじゃないだろうな?」

「違う!」

嫌らしいレイスの言い方に俺は声を張り上げていた。

 

「俺はそいつのことなどなんとも思っていない!」

ふと見ると奴隷がひどく悲しそうな顔をしていた。

しまったと思った時には全てが遅かった。

俺は黙り込む。最悪の状況だ。

 

いっそのことすべてを放り出して奴隷を連れ去りたかった。

そうすれば良かったのに無駄なプライドが邪魔していた。

「ならいいよな。お前にはポイントをやるよ。なんならもっと出しても良い」

「分かった……」

気づくと俺はそう口にしていた。

「交渉成立だな」

レイスは奴隷を自分の胸の中に手繰り寄せる。

そして顔を近づけ髪の匂いを嗅いだ。

 

俺に視線を送る。

まるでわざと見せ付けるようだった。

 

胸の中にドス黒い嫉妬心が湧いた。今すぐこいつを殺してやりたい。

だができなかった。

 

「その代わり決まりは守れ。彼女に暴力を振るうな。性的な強要はするな」

「ああ、分かってるよ」

レイスは一瞬、ひどく忌々しそうな顔をするとそう言った。

 

「あと、これ返しておくよ」

レイスは小型の機械を取り出した。

 

俺が取り付けた盗聴器だった。

俺はただレイスを睨みつけることしかできなかった。