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ヒルビリーとレイスの共同生活九日目

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女はタオルを手にヒルビリーの私室に向かった。ヒルビリーは作業テーブルに向かい本とノートを並べ何かを書いていた。それが国語用のテキストであることはすぐにわかった。

「ヒルビリーくん、ちょっといいかな?」

「どうしたの?ハニー」

そう呼ばれ女は少し嬉しそうに笑う。

「シャワー浴びようと思って」

「あ、じゃあ服がいるよね……」

ヒルビリーは少し困ったように考え込む。

「オレ、服持ってない。何も持ってない」

「えっじゃあ、あのおしゃれなチェックのシャツは……」

「アレ案山子からとってきた」

「そうだったの」

「奥にお父さんの部屋がある。そこなら服あると思う」

「私が入っていいの?」

「うん」

ヒルビリーは険しげに頷いた。

「オレ、あの部屋入りたくない」

「……」

「怖い。洋服をとったら殴られる」

「わかった。自分でとってくるね。ありがとう」

「いてらっしゃい」

女はトンプソンハウス二階の奥まで歩き重厚に閉ざされた扉を開けた。トンプソン夫婦の寝室は一度も使われていないかのように暗く静まり返っていた。部屋に大きく開かれた窓は遮光カーテンでふさがれわずかな光が差す空間となっていた。

室内は整然と整理さていた。洋服ダンスやベッドには埃が被っており閉ざされていた時間の長さを感じさせる。だが不思議と家具の傷みはなかった。まるで時間が止まっているかのようだった。

女は洋服ダンスに近づき、取っ手に手をかけて力を込めた。タンスには上質な服がハンガーにかけられていた。女はタンスの中から女性用の服をいくつか取りヒルビリーの部屋に戻った。

「ヒルビリーくん、服借りたよ」

「おかえり。それあげる。自由に使っていいから」

「ありがとう」

女は部屋の隅に移動しブラウスのボタンを外していく。そしてちらりとヒルビリーを見た。

ヒルビリーは勉強を続けていた。女の裸に興味を示す様子はない。

「さっきから何してるの?」

「これ宿題。トラッパーにそうしろって言われたから」

「トラッパー?」

ブラウスのボタンを外した状態で女はヒルビリーに近づく。

「仕事仲間。勉強教えてくれる人」

「そうなんだ」

ヒルビリーは顔を上げて女を見る。いつも通りの様子で。

「レイスは教えてくれないの?」

「よく分からないけどあまり教えてくれない」

「そうなんだ。勉強の邪魔してごめんね」

「ううん。大丈夫だよ」

女はヒルビリーに背を向ける。そして数歩進んでからぴたりと止まった。

「ヒルビリーくん……私の肌とか……何か思わない?」

女は勇気を出して聞いた。顔は真っ赤だった。自分からこんなことを聞くなんて恥ずかしすぎる。心臓が早鐘のように鳴っていた。

「えっ?なんのこと?」

ヒルビリーは呆気にとられたように問い返す。その目を見て分かった。ヒルビリーは何も感じていない。

「ごめん。なんでもない」

女はすぐさま部屋を出て行った。