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ヒルビリーとレイスの共同生活十日目

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朝起きるとベッドにはヒルビリーはいなかった。布団から抜け出しベランダから農場を見渡すと重機に乗って農作業するヒルビリーの姿があった。

毎日毎日、朝早く起きて畑の管理をし農作物の世話をする。ヒルビリーの姿に心打たれた。同時にヒルビリーに構ってもらえない寂しさを感じていた。

階段を降りて食卓に移動する。すると意外なことにレイスがいた。

「またレイスくんきてたの?」

「うん、暇だったから」

悪びれもせずレイスは言う。思えばこの男がまともに仕事をしたところを見たことがない。いつもヒルビリーの家に入り浸っている。彼を見ていると落ちこぼれの殺人鬼といった印象を受けた。真っ黒な肌に木の皮のような皮膚といい人間離れした見た目だがなぜか殺人鬼から程遠い空気を放っている。

「ヒルビリーくんはいつもあんなに働いてるのね」

「え?ああ。そうだね」

女は何気なく問う。そしてさり気なく本題に入った。

「彼女とか…奥さんとかいるのかな」

「いるよ」

レイスの何気ない一言は女の心臓を突き刺すほど鋭利だった。

「え…」

「いるよ。というか結婚する予定。婚約してる彼女がいるんだって。相手も地主の娘でさ。綺麗な人だよ。ヒルビリー言ってなかった?」

「え……そ、そんな。う、嘘。きいてな……」

女の顔は蒼白になった。目が震え、唇を噛み締めた。頭の中がごちゃごちゃしてまともに思考できない。

「え、じゃ、じゃあ私……ここにいちゃ、だめ」

女の声は上擦っていた。救いを求めるようにレイスを見つめる。そんな女の姿を見てレイスは笑い出した。

「ぷぷっ、嘘だよ!そんなわけないじゃん!マジになんないでよ!独身だよ独身。彼女もいないよ」

「ーーーーっ」

女は思わず声を失う。そして程なくして大きな安堵に満たされた。

「そうだ、君が立候補すれば?彼女に。ヒルビリーの彼女になっちゃえばいいじゃん!」

「だってヒルビリー私のこと女として見てないもの」

「まあそうだけど」

レイスの何気ない一言に女はさらに傷ついた。今にも泣きそうな目で俯いている。

「なんかごめん。ヒルビリーのこと好きなの?」

女は無言で頷く。

「えっ、本当に?なんで?」

レイスは間抜けな顔で無神経な質問をした。

「初めて会った時からずっと優しくされて……コロッと」

女の顔は真っ赤だ。

「そ、そう」

「でも彼、私のこと全然女として見てくれなくて。一緒に寝てるのに触ってくれないし……肌見せても無反応だし……もう私女として自信ない」

「……」

「レイスくん、応援してください」

「応援って言っても何すれば良いのか……」

「ヒルビリーくんって恋愛感情とかあるんですか?」

「うーーん普通はあるんじゃない?」

レイスは曖昧な返答をした。ヒルビリーの恋愛感情などどうでもいい。

「いつも一緒にいるのに知らないの?」

「いや、僕も男だからそういう話よくするけどさ……よく考えたらあいつそういう話にまともに乗ったことないんだよね」

「えーー」

「好きな女の子のタイプとか聞いても、とくにない。だぜ?」

「……」

「いつも食べ物もらってるからお礼にエロ本持って行ったら薪の代わりにしちゃうしな。勿体無かったな」

レイスは心底残念そうに言った。

「私やります。実力行使にでます」

「あ、そう?じゃあ僕も応援するよ!上手く言ったら僕に一番に教えてよ?祝福するから」

「ありがとうございます。レイスくん」

「上手くいってもいかなくても笑ってやるよ」

レイスは笑って言った。女も笑った。花のように純真な笑顔で。お互い希望の未来を想像して笑いあった。