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奴隷の黄昏 第一話

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木造の壁で包まれた広くは無い部屋。
少女が部屋の隅でうずくまり肩を振るわせながら泣いていた。
まだ年端も行かない幼い少女は土と泥で白い肌を汚し、雨にぬれた土色の服は少女の体温を奪った。
「ラピスラズリ」
少女は目を見開いてびくりと体を振るわせる。
名前を呼ばれたからではない、部屋に響く男の声量に驚き身を震わせた。

少女がハンターズギルドに連れてこられたのは数日前。
それまでは山に囲まれた小さな村で生活をしていた。
食うには困らない、だがけして裕福ではないそんな生活。
両親の畑仕事を手伝い、結婚し、子供を生み、そしてまた両親のように子供を育てるのだなと、そんな未来をぼんやりと理解していた。
都会に夢を抱いて村を去る者もいた。だが田舎で何の教育も受けずに育った青年が都会で成功できるわけが無く一年も立たない間に故郷に戻った。

そんな繰り返しの日々も立て続く不幸によって終焉を迎える。
一つ目の不幸はナルガクルガによって家畜が全滅したことだった。すぐに村人たちで金銭を集めハンターに討伐を依頼したが間に合わなかった。
村は食べるものを失い飢饉を向かえ、人々が次々と餓死した。少女の両親も死んだ。
育ての親を失い途方にくれていた少女だが、それでも村人たちの温情によってなんとか生きることはできた。
だがそれも突如訪れた火竜によって滅ぼされる。
不幸なことに村で暴れた火龍はつがいだった。二頭の火竜が村で暴れ火の海と化した。
ハンターに助けも求めることができず村は静かに沈んだ。ナルガクルガの一軒で依頼するだけの金が無かった。
誰がこんな小さな村を助けにくるだろうか。誰にもメリットがないのだ。村には滅ぶだけの未来しか残されていない。
そんな村の過酷な末路も、周りから見ればけして珍しいものではなかったのだ。
どこにでもあることだった。弱き者を犠牲にしながら国は力を保った。だが平和は得られなかった。

故郷も両親も失い、姉とも離れ、残されたのはその身一つ。

女だからどうせあの子は花町に売られるだろうと誰もがささやいた。
ささやくだけでだれも手を差し伸べない。少女を助けるものは誰一人いない。
泣くことしかできない少女に暖かく大きな手が触れた。ごつごつとして黒くて古傷が残る手に少女は父の面影を感じた。

少女は男に手を引かれ連れて行かれた。