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第六話肉体関係

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それから二人の交際は始まった。

空いた日は常に二人で過ごしていた。映画や買い物、公園や食事など他愛のないことを楽しんだ。フィリップは根暗な男だったが同じように積極的なタイプではない女もそこそこ安堵を感じていた。エヴァンとは違う。安心できる男だ。

毎日のようにきていた電話も女と正式に交際してからは穏やかなものになった。

 

フィリップと女は今日も並んで歩く。そして静かな公園に着いた。人気はない。

「あの、僕」

フィリップは周囲に人がいないことを確認するともごもごと何かを言いかけた。

「何だい?」

「あの……したいです」

「え?何を?」

「キス」

「……わかった」

考えてみれば交際してから大分日が経つのにキスのひとつもしていない。

女はフィリップに向き合った。フィリップは目を閉じる。

「ちょ、ちょっと!」

女は困惑する。

「はい?何ですか?」

「しゃがんでくれないとできないよ。ただでさえ君は背が高いんだから」

「あ、そうだった」

フィリップは慌てて腰をかがめた。女が背を伸ばしてフィリップの唇に重ねる。柔らかな唇の感触がフィリップに伝わった。触れるだけの優しい口付け。

少しの間を置いて女が離れる。

「どうだった?」

「違います」

フィリップは拗ねたように言う。

「え?違うの?」

「大人のキスがいい」

フィリップは不満げだった。

「えー!……ここじゃ無理だよ」

女は声を潜めて言った。

「じゃあ僕の部屋に来ませんか?」

「え」

女の顔が強張る。

「僕の部屋に来てください」

「君の部屋に行くのかい?」

「はい」

フィリップは真剣な表情だった。

「わ、わかった」

女は頷く。

「変なことはしないよね」

「恋人なんだからします」

「なんじゃそりゃ!行かない!」

「僕のこと嫌いですか……?」

フィリップは目を背け寂しそうに言った。

「そんな事はないよ!ただ……」

「僕はもう結婚だって考えてるのに」

「気が早いよフィリップ」

まだ付き合って二ヶ月ほどだ。

「早くなんてない。僕の不安がわかりますか?僕は怖いんです。あなたが僕を捨てるんじゃないかって。あなたを失ったら僕はずっと一人ぼっちだ」

フィリップは女の手を取った。両手で包むように握りしめる。目は隠したまま伏し目がちに。ただでさえ陰気な彼の表情がさらに暗くなる。

「あなたと消せない繋がりが欲しいんです」

「フィリップ……わかったよ」

返事をした刹那、フィリップは女に抱きついた。フィリップの体重と温もりに女は包まれる。

「大好きだよ」

フィリップは耳元で囁いた。

 

 

男は分厚い資料に向き合っていた。リストに書かれた会社名を一つずつ潰していく。

珍しい残業。その訳は数ヶ月前、自分から離れた女の消息を探していたからだ。住所も電話番号も変わっていた。職業斡旋所に電話を入れ女の転職先を聞いたが登録になかったという。なにかツテのようなものがあって転職先を見つけたのだ。男は関係のある会社の社長に連絡を回していた。

男のデスクの電話が鳴る。男は即座に電話を取った。

「はい、マクミランですが」

男は名乗る。そして電話口の向こうの言葉を聞くとその口を大きく歪めた。

「はい、そうですか。ありがとうございます」

受話器を置く。がちゃりと音を立てた。

「やっと見つけたぞ……!」

男は低く笑った。くつくつと静寂なオフィスに男の不気味な笑いが響いた。

 

 

フィリップと女は手を繋ぎアパートの前まで歩いた。無機質な古いコンクリートの建物だ。フィリップが先導して入り自室まで歩く。そして玄関の鍵を開け扉を開けた。

「さあ、おいで」

「うん」

フィリップに誘導され中に入る。狭い部屋は物が多かったが散らかってはいなかった。フィリップは鍵を閉めると女の腰に手を回し身をかがめて唇を奪った。舌を入れ口内を混ぜ合わせる。

女がうめき声をあげるまで女の唇を堪能していた。接触したフィリップの下腹部が膨らむのが伝わった。

「こっちにきて」

女の手を取り寝室まで移動するとベッドに二人でなだれ込んだ。その状態で再びキスを要求される。

フィリップの手が服にかかった。が、その手はすぐに止まる。

「あれ、この服どうやったら外れるの?」

フィリップはまごついた。

「ここにファスナーがあるんだよ、違うそこじゃない。もういい自分でやる」

まごつくフィリップの手を退け自分で服を脱いだ。

「ご、ごめん」

フィリップは下着越しに女の胸に触れた。

「あ、結構大きい」

「失礼だな、君は」

「ご、ごめん」

フィリップは優しく胸を揉んだ。

「もう少し……強めでも……」

「こう?」

フィリップは手に力を込める。程よい弾力が官能的だった。

「下着、外したい」

「あ、ああわかった」

フィリップの要求に応え、下着を外す。

「……っ」

初めて見る女の裸にフィリップは息を飲む。乳房の先端に顔を近づけ舌で舐めた。唇で吸い、舌で転がす。柔らかいその感触を肌で堪能した。

「僕……もう我慢できない」

フィリップはズボンを下ろし始める。そして膨張した自身の一部を女の足の間にあてがった。

「ちょっと!ちょっとまて!」

「な、何?」

「避妊は?避妊してくれ!」

「えっと、持ってない」

「ああ、もう。じゃあちょっと待ってて」

女はジャケットを手繰り寄せ、ポケットから何かを取り出した。

「次からは……フィリップが用意してよ……」

「ごめん」

フィリップは箱を受け取ると中身を取り出した。まごまごともたつきながらそれを付ける。

「違う、逆」

「え、こう?」

「そうじゃない。もうかして」

女が代わりに付けた。

「で、できた。じゃあするね」

「う、うん」

フィリップの一部が女の陰部に触れ、肌をくすぐった。位置を探って何度も力がこもる。

「うーん、入らない」

「もう少し下なんだけど」

「えっ、ここかな」

「痛い、もう少し下」

「ここ?」

「そこだよ。入れてみて」

不器用すぎるフィリップを誘導する。恥ずかしさで死にそうな思いだ。

フィリップは教えられた通りに力を込めて自身を入れた。ゆっくりと負担にならないように中まで入れる。フィリップの一部が女の肉を掻き分けながら奥までゆっくりと挿入されていく。女の体内がフィリップの肉で満ちて行った。

「く、あ」

思わず息が漏れる。フィリップは女を抱きしめながらさらに力を込めた。女の顔が目の前にある。感じている。それがこの上なく嬉しかった。全てが収まるとさらに幸福感に襲われた。全てが一体になった暖かな幸福。女を全て自分が支配したのだ。過去の男より、自分が優位な位置にいる。フィリップの中で邪悪な支配欲が満たされていた。

「これで僕たちはひとつになったね」

「うん」

フィリップは女に口づけをした。舌を絡め合わせ何度も吸っては繰り返す。

「フィリップ、愛してる」

女のその言葉にフィリップの目が輝いた。そしてゆっくりと腰を動かし始める。女の体が揺れる。密着すると女の息遣いが、体温が伝わってきた。女をかき抱きながら往復する速度を速めて行った。結合した部分がずぶりと何度も女を刺激する。体液が衝撃を和らげ女に快楽を与えた。

女は艶かしい吐息を吐きながらフィリップの背に手を置いている。

 

……本気じゃないのかもしれない。

 

なんとなくフィリップはそう思った。感じているフリをしている。フィリップが初めてであるというのも原因の一つだろう。

フィリップは一度自身をギリギリまで抜き、力を込めて女の奥を突き上げた。女を感じさせることができないなら自身の欲を満たすしかない。

「……っ!」

女の表情が変わったことに気づく。先ほどまでとは違う。何かに抵抗するような顔だった。

 

フィリップは再び自身を抜きかけ間を置いてから奥を突いた。

ずぷりと女の奥を太い肉が突き上げる。その度に大きな快楽が女を刺激した。優しい動きの後に来る暴力。その落差が女に奇妙な違和感を与えた。フィリップの欲を満たすためその肉が何度も女を突き上げる。淫靡な吐息をあげながら呼吸を見出し女をかき乱す。

「フィリップ、ちょっと待て……」

だが全ては遅かった。自身の欲望に飲まれたフィリップに声は届かなかった。女の戸惑いがフィリップの欲を刺激し、動きをさらに加速させた。激しく呼吸をしながら女をかき乱し何度も突き上げる。

不意に彼の意識が白く染まった。欲望が高みまで極まるとその口から体液が吐き出された。女を欲して遡ったその欲望は薄い壁に阻まれ鼓動と熱だけを残して溶けて行った。

「はぁ、はぁ」

フィリップは女に覆いかぶさると息を乱して停止した。

「フィリップ……」

女はフィリップの体を抱きながらその髪を撫でた。

 

 *

 

女は玄関で鞄を持ち直すとフィリップに向き合った。

「じゃあもう帰るね」

「明日も会おうね」

「あ、ああ。仕事が終わったらね」

「待ち遠しいよ」

フィリップが女に歩み寄りその腕を引き寄せようとする。

「……っ!」

女は思わず引き下がろうとした。

「何を怯えてるの?」

「お、怯えてなんかいないよ」

女は平静を装う。

「じゃあ、また明日」

「迎えにいくよ」

「ありがとう」

 女は玄関を開け帰路についた。フィリップは女の姿が見えなくなるまでずっと見送っていた。胸には幸福感があった。女と一線を超えた。消えることにない二人の絆。愛情が交わったあの一瞬。フィリップは胸を踊らせ自室に戻った。部屋には女と自分の匂いが充満していた。